IoTとは?誰でも簡単にわかるIoTの仕組み

こんにちはIoT研究所のマサミです。
今回は、社会に様々な価値をもたらしてくれるIoTについて解説します。
今後、IoTを導入しようと検討されている企業の担当者も必見です!

IoTとは?

IoTは「Internet of things」の略でモノのインターネットという意味がります。
従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、建物、車、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。

最近では、スマートスピーカーやスマートロックキー、留守番カメラなどが有名ですが、家庭内以外でも、工場の稼働状況の可視化や異常検知といった産業でも幅広く使われています。

様々な分野で利用されているため、IoTと聞くと人によって様々なIoTの定義は実は法律できまっています。

以下、Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/モノのインターネット)からの引用です。
2016年4月20日に成立した法律により改正された特定通信・放送開発事業実施円滑化法の附則では「インターネット・オブ・シングスの実現」を「インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会の実現」として定義した。

IoTと M2Mの違いは?

IoTと似た概念を持つ「M2M」があります。
M2Mは、機器がネットワークに接続されることにより、機械同士が人間の介在無しにコミュニケーションをして動作するシステムで、機械から機械が情報を収集する、機械が機械をコントロールすることを目的としています。

IoTの概念とM2Mの概念は似ていますが、M2Mは機械と機械がつながるので接続可能なシステムが限られています。
機械と機械がつながることにより、人間が介在することがなくなります。
そのため、工場の生産ラインや工事現場などで活用されています。

また、M2Mは、機械が機械をコントロールすることを目的としている一方で、IoTでは、M2Mと違い収集したデータを分析し、分析した結果を機械にフィードバックしたり、データを機器の制御に利用するなどデータを高度に分析することで新たな価値を見出すことを目的としています。

IoTでできることとは?IoTのレベル

ひとことでIoTと言っても、IoTでできることは複数あります。
それが、「データの蓄積」、「可視化」、「制御」、「自動化」、「最適化」、「自律性」です。

データの蓄積

デバイスを通じてビッグデータをクラウドストレージに収集する

可視化

デバイスを通じて収集した情報を元に対象となるモノの状態や動作をモニタリング、可視化する

制御

人による遠隔操作や、プログラムによるルールでモノを制御する

自動化

データ分析により、人の手を介さずに自動でさまざまな処理や操作を行う

最適化

人工知能を利用することで、単に自動化するだけでなく条件や状況に応じて最適な処理を行う

自律性

人の手を介さず、データの蓄積/可視化/制御/自動化/最適化を行うことで自律性を備える


現在、頻繁に耳にするIoTというとデータの蓄積〜制御のところまでが多いです。
例えば、冒頭で紹介したスマートロックキーは「制御」にあたります。

スマートロックキーに、家庭内のセンシングデータを基にAI(人工知能)で分析できる機能をつけ、家主が留守の際には自動で鍵を閉めるなどすることで、自動化〜自律性までIoTのレベルを上げることができて、IoTの目的である、「データを高度に分析することで新たな価値を見出す」ことができるのではないでしょうか。

IoTの活用事例

宅配ピザ「ナポリの窯」を経営するストロベリーコーンズは、ピザの生地や具材を保管する冷蔵庫の扉の閉め忘れや冷却機の故障により、冷蔵庫内の温度が上がってしまうことで生地や具材を傷めてしまい廃棄していることに悩まされていました。
そこで、冷蔵庫にIoT温度センサーを設置し、無線ネットワークで庫内の温度を15分ごとにスマートフォンやタブレットで確認できるようにしました。
これにより、気温の変化や温度を一定に保てなくトラブルを未然に防いでいます。


エネルギー資源を島外に依存している沖縄県宮古島市では、IoTシステムを用いることで、離島のエネルギー課題に早くから取り組んでいます。
Raspberry Pi3をベースにIoT機器を開発し、電気給湯器やIH調理器からデータを収集・分析することで、ピーク時の消費電力を制御する節電実験を開始しています。


高速バス大手のWILLER EXPRESS JAPANは、近年増加している高速バスの事故を未然に防ぐために、約200台のバスにIoTウェアラブルセンサー「フィーリズム」の導入しました。
フィーリズムを装着することで、運転士の運転中の脈波を常時計測することができ、眠気や疲れを検知できるようになりました。
眠気や疲れの兆候が出た場合はセンサーが振動し本人に知らせ、状態が改善されない場合は、運行センターへ警報を発信し運転者に休憩の指示を出します。


神奈川県大磯で約2,600平方メートルのきゅうり農地を営む鈴木氏は、2016年にビニールハウスの中央に配置したセンサーから二酸化炭素濃度を取得し、光合成が活発な日中はCO2が欠乏しがちなため、濃度のの推移をスマホ画面でチェックし、低下したら石油ファンヒーターでCO2濃度を上げて生育促進につなげています。


大手農機メーカの株式会社クボタは、事前に有人運転で走行することで、GPS(全地球測位システム)の位置情報からマップを自動生成し最適な作業経路を算出し自動運転を設定できる、自動運転トラクターのモニター販売を2017年6月から始めました。
自動運転時に障害物を検知した場合に自動停止します。
また、農業支援クラウドサービス「KSAS(クボタ スマートアグリシステム)」と連動することで、機械の位置や稼動情報をスマートフォンなどで確認することもできます。

IoTの仕組み・構成する要素まとめ

IoTを構成する要素として代表的なものが「デバイス(センサー/アクチュエーター)」、「ネットワーク」、「クラウド(アプリ/ストレージ)」があります。

以下がIoT全体の簡略図となります。

IoTデバイスである「センサー」からデータを取得し、「ネットワーク」を介して「クラウド」にデータを送信します。
送信されたデータはクラウド内の「ストレージ」に蓄積され、アプリケーションにより可視化・分析・予測されます。
可視化・分析・予測された結果を元に、アクチュエーターを制御したり、外部のサービス(PC、スマホ、ロボット、etc.)などと連携します。

デバイスとは

デバイスとは、センサー素子と連携して観測データを取得するセンサーデバイスや、データ分析の結果を受けてモーターなどのアクチュエーターを駆動する制御デバイスがあります。

センサーデバイスは、センサ素子とマイコン(CPU)がインタフェース(I/F)で接続される構成になっています。
温度、加速度、角速度、音声、画像、映像、振動、位置情報センサーなど様々なセンサーがあり、マイコン(CPU)によってセンサ素子が制御されます。
また、取得した値はWi-Fiモジュールの通信でクラウドに送られます。

代表的なアクチュエータ(モーター)の種類には以下の4つがあります。
・DCモーター
 永久磁石の中でコイルが回転するモーター。直流電圧と負荷で回転数が決まる
・サーボモーター
 回転を制御できるモーター。回転位置や回転速度を検出するエンコーダを持つ
・ステッピングモーター
 1回のパルスで一定の角度だけ回転するモーター
・振動モーター
 重心をズラすことで振動を発生させるモーター。携帯電話のバイブ機能などで利用

ネットワークとは

ひとことでネットワークと言っても様々な種類があります。

Wi-Fi

Wi-Fiとは無線LANの規格のことで、Wi-Fi Allianceという業界団体が定めた規格の名称を指します。
それまでの無線LANは規格が定まっておらず、製品やメーカーによって接続できないものが多くありましたが、共通規格を設けることで製品が相互接続が可能となりました。
Wi-Fiのロゴは、相互接続可能だと認められた製品に表記されています。
またWi-Fiルーターなどの無線LANを使用すれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを無線でインターネットに接続することが可能です。
Wi-Fiルーターは無線LAN親機と呼ばれており、Wi-Fi機器とLANの仲介を行うことができます。

3G / 4G(LTE) / 5G(移動通信システム)

3Gとは携帯電話の通信規格を指し、第3世代移動通信システムと呼ばれています。
NTTドコモが2001年にサービスを開始したFOMAもこの3Gサービスのひとつです。
LTEは厳密には3.9Gという位置付けですが、開発メーカーや販売店がLTEを4Gと呼ぶことが多かったため、LTEを4Gと呼ぶのが一般的になっています。
Wi-FiやBluetoothとの連携が可能なWiMAX2も4Gの一種です。

第5世代移動通信システムを意味する5Gは、国際電気通信連合(ITU)が定める4Gのさらに次世代の通信企画です。
通信速度は、4Gが100Mbps~1Gbpsなのに対し、5Gでは下り最大10Gbps、将来的には20Gbpsとなると予測されています。
また、省電力化により小型デバイスがバッテリーで10年間以上稼働可能なため、IoTシステムの構築にも欠かせないネットワークになることが想定されています。
5Gは高速通信が可能であることから、スポーツ観戦などの映像のリアルタイム配信や、映像のデータ分析などの活用も期待されています。

LPWAN

LPWAはなるべく電力を消費せず遠距離を行う通信方式です。
LPWAは「Low Power Wide Area」の頭文字を取った略称で、IoT向けに開発や仕様の策定が進められています。
LPWAは通信を利用する際免許が必要な「ライセンス系」と免許不要の「アンライセンス系」の2つに分かれています。

ライセンス系
・NB-IoT(LTE Cat. NB1):IoTに特化した通信方式でLTEをベースにしています。

アンライセンス系
・LoRaWAN:かなり低速ではありますが消費電力を抑えることができます。長距離伝送が可能です。
・Sigfox:こちらもLoRaWANと同じく低速で、消費電力が少なく長距離伝送に向いています。

Bluetooth

BluetoothはPCやスマートフォン、タブレットなどの周辺機器によく使用されている通信技術です。
10メートルほどの小さい範囲での無線通信を行うので、マウスやキーボード、イヤフォンなどの接続に利用されています。

NFC

NFCとは「Near Field Communication」の略称で、10センチ程の狭い範囲で通信を行う近距離無線通信規格のことを指します。
リーダーやP2P機能などもこのNFCの一種です。
おサイフケータイなどに使用されている「FeliCa」もNFCと同じ機能を持っています。

クラウドとは

クラウドの役割は、「データの保存(ストレージ)」と「可視化、分析予測、制御(アプリケーション)」があります。
代表的な3つのクラウドサービスをご紹介します。

Azure

Microsoft が提供するパブリッククラウドサービスです。
AzureはPaaS、IaaS、SaaSに対応しMicrosoftやサードパーティが提供するさまざまな機能を組み込むことが可能なクラウドサービスです。

GCP(Google Cloud Platform)

Google が提供するパブリッククラウドサービスです。
Google 検索や Gmail 、YouTube 、 Google マップなど、 Google の各種サービスを支えるプラットフォームと同等の、高性能で高速、セキュアで安定した強固なインフラを利用できます。

AWS(Amazon Web Service)

Amazonが提供するパブリッククラウドサービス。
世界で1番使われているクラウドサービスで、世界18のリージョン、55のアベイラビリティーゾーンで運用されており、日本には東京と大阪にアベイラビリティゾーンがある。

IoTをはじめるために

「データ収集に向けた設備投資などの費用はかかりすぎる」と思われがちですが、創意工夫次第で小規模かつ低コストにデータ収集・分析を実現する方法はあります。

工場にある9台の射出成型機にRaspberry Piと電子センサーを取り付け可視化・分析したところ、今まで稼働率が60%だったのが、80%に改善されました。
作成にかかった価格は1セット約1万5,000円です。

小さく始めて効果確認しながら規模を拡大していけば、得られたデータを用いて業務の改善も進んでいきます。

まとめ

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