IoTの特性と成熟度モデルとは

こんにちは。
IoT研究所の見習い研究員の本庄です。

今回は、IoTシステムの特性について成熟度モデル別にご紹介します。


モニタリング/可視化

IoTの多くは、インターネットを介して遠隔地に存在する製品(モノ)を扱うことになります。
そのため、センサーを通じて収集した情報をもとに、対象となる製品の状態や動作をモニタリングしたり、その内容を可視化することは欠かせません。

収集されるデータをリアルタイムに可視化するだけでも、サービスの価値を向上させられるケースは多くあります。
京都市営バスでは、バス車両に設置したビーコンと、京都市全体で導入が進んでいる無料の公衆Wi-Fi網を利用して、バスの運航状況を利用者にリアルタイムで案内するサービスを提供しています。
国内だけでなく海外からも観光客が多い京都では、観光客向けの便利なおもてなしサービスと言えるでしょう。
2020年開催予定の東京オリンピックに向けて、このようなIoTアプリケーションが多く登場するのではないでしょうか。

また、製品開発や工場においては、収集されたデータによって製品や機械などの実際の使われ方や稼働状況を詳細に把握することが可能になります。
これにより、故障する前にその状況を把握し部品交換を可能にしたり、次の製品開発に役立てたりすることが可能になります。


制御

モニタリング/可視化が実現されると、そこで集されたデータを元に人による遠隔操作や事前に指定したルールによって「モノ」を制御することが可能になります。

例えば農業では、畑やビニールハウス内の温度や水分量を元に、適切なタイミングで散水や肥料を与えることが可能になります。
また、米シアトルで実際に起こった出来事として、盗難された車両を遠隔ロックし犯人を内部に閉じ込めた後に警察が無事逮捕するなどということもありました。
これも、遠隔から制御した例ですね。

ただし、逆にこのような制御機能を悪用されることもあるため、セキュリティについては十分に注意が必要になります。


自動化

機械学習やディープラーニング(深層学習)の技術を利用すると、高度化されたデータ分析や制御が可能になり人手を介さずに自動でさまざまな処理や操作を行うことが可能になります。
IoTのアプリケーションとしてはすでに実用段階に入っており、さまざまな分野で機械学習の技術を利用したIoTの導入が活発に行われています。
これは、センサにより「モノ」の詳細な動きや状況を把握することで、より精度の高いデータ分析が実現できるようになっており、単にデータを可視化するだけでなく設備の異常検知や将来予測、画像解析による動態分析などといったことも可能になってきているためだと考えられます。

データの収集/活用を実現するIoTと、データに基づきパターンや関係性などを抽出する機械学習の技術との親和性は非常に高く、これまで人が解釈したり、判断したりしないと実現できなかったようなことも、自動で行えるようになります。


最適化

機械学習の更なる応用としてより高度な判断や分析を汎用的に行えるAI(人工知能)がありますが、その利用が進むと単に自動化するだけでなく状況や条件に応じた最適な振る舞いを実現することが可能になります。
例えば、工場のロボットが製造する製品の内容や出荷の状況を踏まえて、最も生産力が高くなる方法を自動で選択できるようになるなどのことです。

さらに最近では、「コグニティブコンピューティング(CognitiveComputing)」や「IoA(InternetofAbility)」といった概念も登場しています。
「コグニティブ」とは「認知」や「認識」を表す言葉ですが、「コグニティブコンピューティング」とは、ある課題や事象に対して人の頭脳のようにコンピュータ自らが考え、学習し、解を導き出すシステムのことを指します。
IBMの「Watson」や、Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」など、すでにみなさんにとっても身近な技術になってきています。
まだ、実際の業務で活用されているケースは少ないですが、このような技術を活用することで、その場の状況に応じた最適解を得ることが可能になるでしょう。

また、「IoA(InternetofAbility)」という言葉は、東京大学の暦本純一教授が提唱しているものですが、IoTにより「モノ」が「能力(Ability)」を持ち、さらにそこに人間が関わることで、人間の能力がネットワークを超えていったり、人間と人工知能の能力が融合したりといったことが実現される、という概念です。重い荷物を持ったり、障害を持つ人のリハビリ用などで、人の動きをアシストするようなロボットも登場していきていますが、さらにネットワークを介して情報をやり取りすることで、現場にいる作業員と遠隔地にいる専門家が感覚を共有して作業を行ったりすることも可能になるでしょう。


自律性

モニタリング/可視化、制御、自動化、最適化などの機能が融合されると、それを有する製品は、高い自律性を備えることになります。
高い自律性を備えた製品は、オペレータなども不要になるため危険な場所での作業を可能にしたり、関連する他のシステムと協調して調達/製造/流通/販売などの一連のサービスを自動で行ったりすることが可能になります。
ここまで行くと、まるで映画のような世界ですね。
ただ、必ずしも夢物語というわけでもありません。

IoTという言葉が世の中に出てくる前から、建設機械にGPSを取り付け遠隔監視などを実現してきている建設/鉱山機械メーカーのコマツでは、鉱山で無人での採掘を可能にするシステム/建機を所有するジョイ・グローバル社を2016年に買収しました。
これにより、機械の稼働最適化、遠隔操作、無人化を進め、鉱山現場の安全および生産性の大幅な向上に貢献するそうです。

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